クレジットカードの会員申し込みがあると、クレジットカード発行会社は自社内にあるデータに基づいて審査を行います。
次に申請者の他の情報で審査をするために、外部機関である個人信用情報センターをというところを利用して審査を行います。
自社内でのデータだけでは、自社を初めて利用する申請者情報や、他社のクレジット利用分などがわからないので、個人信用情報センターを利用します。
個人信用情報センターは割賦販売法によって2010年に経済産業省から指定信用情報機関として指定を受けました。これによってクレジット業者には指定信用情報機関を利用した支払い能力調査が義務付けられました。
クレジットカードの外部審査が始まった経緯
指定信用情報機関を利用した支払い能力調査が義務化された経緯についてお話します。

義務化以前の共有情報
以前クレジットカードのショッピング利用限度額の設定は、各クレジット会社に委ねられていました。
ショッピング利用限度額というのは、このクレジットカードで合計何万円まで買い物していいですよという金額です。クレジットカード会社への支払い(引き落とし)が済めば、その分また利用できます。
義務化以前にも信用情報センターはありましたが、金融機関の情報センターや信用販売系の情報センターなど業界別に複数の信用情報センターが存在し、これら信用情報センターの情報共有はクレジット利用分の未払い関連情報(いわゆるブラック情報)のみとなっていました。
なので、他のクレジット会社でどれだけクレジット利用しているかの利用分は把握できない状態となっていました。
他社でのクレジット利用が把握できない結果起こったのが、利用者の多額債務やショッピングクレジットを利用した悪徳商法でした。
多額債務や悪徳商法被害が発生
多額債務は各クレジット会社でキャッシング利用限度額設定が行われたため、利用者が所有している複数のクレジットカードでキャッシングをそれぞれの限度額まで行うことができます。
結果、利用者自身の収入を返済額が圧迫し返済困難となり、多額債務者となります。キャッシングというのはカードを利用してお金を借りる事です。

多額債務イメージ
悪徳商法は訪問販売等でセールスマンに薦められるたびに購入したものの、商品が届かない事や訪問販売時に聞いていた話と異なったり等トラブルが起こります。
これはカード会社によってショッピング利用限度額が設定されていて、「このクレジットカードは利用限度額いっぱいだけど、こっちのクレジットカードはまだ使えるから」という事で、セールスマンに薦められる度に購入できてしまう事も問題として考えられます。ただ、薦められる度に買ってしまう利用者にも問題があると思いますが・・・。
そこで法律で規定して未然に防ごうという事になり、賃金業法で総量規制が、割賦販売法で支払い可能見込み額の規定が定められました。
-
-
総量規制
ここでは総量規制についてご紹介します。 クレジットカードのことを調べていると、総量規制ということばをよく見る思うので、総 ...
-
-
支払可能見込額とはクレジットカードの利用限度額の計算です。
支払い可能見込み額 割賦販売法により、クレジットカードの利用限度額は利用者の収入に応じて制限されています。申込者の申込用 ...
総量規制や支払い可能見込額算定の規定は、さきほどお話しした多重債務や買い物での過剰なクレジット利用を未然に防ぐ目的があります。

信用情報機関
クレジットカードのショッピング利用限度額は割賦販売法の「支払い可能見込み額」で算出されます。これは銀行以外のノンバンクや銀行も対象となります。
キャッシングの利用限度額は賃金業法の「総量規制」で算出され、銀行は対象外となります。
利用の区分 | 法律 | 算出 |
---|---|---|
買物等の利用限度額 | 割賦販売法 | 支払可能見込額規定 |
キャッシング限度額 | 賃金業法 | 総量規制 |
どちらにしても「利用限度額」というのは、自社が持っている情報だけで、他社利用分は分からないので、外部の指定信用情報センターに問い合わせを行い算定されます。
指定信用情報センターは銀行系1団体、銀行以外のノンバンク系2団体の計3団体あり、経済産業省から指定を受けた信用情報機関と、賃金業法と割賦販売法で指定された信用情報機関とは同じとなっています。
3団体の指定信用情報センターは消費者の信用情報が共有・交流されていて、金融機関の信用情報センターも含めた情報共有が進んでいます。3団体とは下記にあげるものとなります。
信用情報センター3団体
- 全国銀行個人信用情報センター
一般社団法人全国銀行協会が設置、運営を行っています。その名の通り銀行が利用しています。
- 株式会社CIC(シー・アイ・シー)
社団法人日本割賦協会が設立。主にクレジットカード会社、信用販売会社のノンバンクが利用しています。
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
ノンバンクが利用しています。消費者金融会社、信販会社、流通系、銀行系、メーカー系カード会社、金融機関、保証会社、リース会社等幅広い業種が加盟しています。
信用情報機関同士の情報共有
3つの信用情報センターはCRIN(Credit Information Network)という交流ネットワークで相互に情報交流を行っています。
情報交流を行っているのは、3つのセンターが所持する延滞情報や紛失・盗難、同性同名人の本人申告情報、利用状況です。
銀行以外のノンバンクが利用するCICとJICCは、FINE(Financial Information Network)で情報交流を行っています。
銀行系とは別にノンバンク系にFINEがあるのは、賃金業法が関わっています。
賃金業法に基づく指定信用情報機関制度は、賃金業者が総借入残高(お金を借りている総額)を把握できるしくみとして、指定信用情報センターが複数ある(ノンバンクが利用するものがCICとJICCの2つある)場合に相互に残高情報等の交流を行う事を義務付けられている為です。
指定信用情報センターが複数あるという部分に、ノンバンクが利用するCICとJICCの2つあるということが当てはまります。
賃金業法は賃金業が対象なので、銀行は対象外となります。
まとめ
クレジットカードの審査は自社で行われる審査と、外部機関である国から指定を受けた個人信用情報センターを利用した審査があります。個人信用情報センターを利用した審査は、法律で義務付けされているので、必ず行われます。
3つの信用情報センターは利用状況や支払い延滞などを共有していて、どこのクレジットカード会社の審査でもその情報は入ります。
特にマイナス情報が登録されないように、気を付けたいものです。
