この記事ではクレジットカードの発行業界についてご紹介します。
クレジットカードの発行業界というのは、信販系や流通系など様々な業界がありますが、大きくは銀行本体かそうでないかに別れます。
では実際どんな発行業界があるのか?わかりやすく解説したいと思います。
日本のクレジットカードの発行業界
海外では一般的にクレジットカードをはじめとした、ペイメントカードの発行は銀行の業務です。
しかし日本におけるクレジットカードへの銀行の参入は、戦後財閥解体に伴って金融機関の広範囲なビジネス展開が規制され、クレジットカードにも規制が入りました。
そのため日本のクレジットカードは、銀行以外のノンバンクでの発行が中心となり、発展していきました。
その後1996年から2001年にかけて行われた、大規模な金融改革(金融ビッグバン)で、規制が緩和されています。
ノンバンク系の発行業界

信販系
初期頃はノンバンクの中でも、特に旧日本信販などの個別信用購入あっせん業者が台頭していました。
個別信用購入あっせん業者を信販系と呼びます。
もともとは百貨店などで高額商品の購入や個別クレジットによる分割払いを斡旋していた信用販売業者が、クレジットカード業界にに参入しました。
信販系の発行するクレジットカードの特徴は、個別クレジットと分割払い、ボーナス一括払いという、複数の支払い方法を持っていました。
複数の支払い機能が1枚のクレジットカードに集約されているのは、日本特有の支払い方法である事から、ジャパニーズペイメントオプションと言います。
最大の信販系業者だった日本信販は、後にnicos(ニコス)となり、銀行系列クレジットカード会社の、DCやUFJ等と統合し、三菱UFJニコス統合なりました。
主な信販系クレジットカード会社
- 三菱UFJニコス
- オリコ
- アプラス
- ライフ
銀行系
銀行系となっていて銀行本体発行ではありませんので、ノンバンク系となります。
銀行本体がクレジットカードを発行できなかった時期に、銀行と大手クレジットカード会社が提携してクレジットカードの子会社や系列会社を設立しました。これを、銀行系クレジットカード会社といいます。
これらの子会社や系列会社をBrothers Company(BC)やFranchise Company(FC)と呼ぶ場合があります。
銀行系クレジットカード会社例
- 三和銀行&日本信販 → JCB(ジャパンクレジットビューロー)
- 住友銀行 → 系列住友カードでVISA
- 三菱銀行 → 系列でDC(ダイヤモンドクレジット)
- 第一勧業銀行 → 系列でユニオンカード(UC)
T&E(トラベル&エンターテインメント)系
クレジットカードで旅行をサポートする機能に特化したり、食事や観劇などの娯楽の予約、手配サービスに特化したクレジットカードを、T&E(トラベル&エンターテインメント)系カードと言います。
旅行サポート機能は、遠い地でのカード決済や、現地通貨の出金、外貨用立て、旅先での紛失時におけるサポート(再発行・各種手配など)があります。
T&E系カードで、代表格と言われるのが、AmericanExpress(アメリカンエキスプレス)やDiners Club(ダイナースクラブ)です。その他では、JCBがT&E志向となっています。
流通系
百貨店などの流通業者が、信販系クレジットカード会社や銀行系クレジットカード会社と提携し発行されたクレジットカードを流通系カードと言います。日本で最初の流通系カードは、「丸井」によって1960年に発行されました。
流通業者がクレジットカードを発行しだしたのは、販売促進手段として有効と考えられた事が大きな要因となっています。
他の系統のクレジットカードと違い、一般消費者に近い流通業界のクレジットカードは、新規会員獲得が容易に進み、急速に拡大しています。
メーカー系
自動車業界や家電業界も、自社の高額な製品の販売促進、自社系列店支援のために、クレジットカードを発行しました。こういったカードをメーカー系カードと言います。
《メーカー系クレジットカード代表例》
- トヨタファイナンスが発行するTSキュービックカード
- 日産フィナンシャルサービスが発行する日産カード
※ホンダ・マツダなどはクレジットカード会社と提携し、カードを発行しています。
その他
石油系カードでガソリンスタンドの出光クレジットが発行するカード。携帯電話事業の決済参入によるカードは通信系、また、鉄道会社の鉄道系もあります。
銀行本体発行のクレジットカード
銀行が自ら決済カードを発行することを銀行本体発行といいます。クレジットカードの他にデビットカードがあります。
銀行本体発行のクレジットカードでのキャッシング(融資)は、銀行法が適用され、賃金業法の総量規制がありません。その為、融資算出基礎となる収入証明等が不要となります。 ⇒総量規制